モル濃度と密度、質量パーセント濃度の考え方

化学オンライン講義

溶液、溶媒、溶質の違い、モル濃度と密度、質量パーセント濃度の違い、公式、求め方、関係性についてわかりやすく解説します。解説担当は、灘・甲陽在籍生100名を超え、東大京大国公立医学部合格者を多数輩出する学習塾「スタディ・コラボ」の化学科講師です。

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溶解・溶質・溶媒・溶液とは

溶解とは、液体中に他の物質が拡散して均一な液体となる現象です。
溶質とは、溶け込んだ物質であり、溶媒とはその溶質を溶かす液体であり、溶液とは溶解によって生じた均一な液体混合物です。

例えば、食塩水を例にとると、食塩が溶質、水が溶媒、食塩水自体が溶液ということです。

ちなみに、溶質は固体しかないと思われがちですが,液体、気体の場合もあります。

液体の溶質だと、例えばエタノールです。

液体のエタノールを水に溶かしてエタノール水溶液ができます。

気体の溶質だと、炭酸水などがありますね。気体の二酸化炭素を水に溶かして炭酸水溶液ができます。

モル濃度とは

モル濃度とは、溶質の物質量[mol]を溶液の体積[L]で割ったものです。

モルとは個数のことでした。(1mol = 6.0×1023個)

公式です。

$$モル濃度[mоl/L] = \frac{溶質の物質量[mоl]}{溶液の体積[L]}$$
$$溶質の物質量[mоl] = モル濃度[mоl/L]×溶液の体積[L]$$

【例題1】 NaOH = 40のとき、NaOH2.0gを水に溶かして全体で2.0Lとしたときのモル濃度を求めよ。

【解答1】

モル濃度の計算例1

【例題2】0.05mol/Lの水酸化カリウム水溶液が20mLある。この溶液中に含まれる水酸化カリウムは何molか。

【解答2】

モル濃度の計算例2

質量パーセント濃度とは

質量パーセント濃度とは、溶質の質量[g]を溶液全体の質量[g]で割って100をかけたものです。

以下公式です。

$$質量パーセント濃度[%] = \frac{溶質の質量[g]}{溶液の質量[g]}×100$$

密度とは

密度とは、溶液全体の質量[g]を溶液全体の体積[L]で割ったものです。

以下公式です。

$$密度[g/cm^3] = \frac{溶液全体の質量[g]}{溶液全体の体積[cm^3]}$$

質量モル濃度とは

おまけです。質量モル濃度とは、溶質の物質量[mol]を溶の質量[kg]で割ったものです。

公式です。

$$質量モル濃度[mоl/kg] = \frac{溶質の物質量[mоl]}{溶媒の質量[kg]}$$

モル濃度との違いは分母です。

モル濃度では、溶液の体積[L]だったのに対し、質量モル濃度では溶媒の質量[kg]です。

頻出の練習問題

質量パーセント濃度が98%の濃硫酸があり、その密度は25℃で1.83g/cm3である。この濃硫酸を水で薄めて、5.0mol/Lの希硫酸500mLをつくるには、何mLの濃硫酸が必要か。

【解答解説】※タップで表示

【解答】714g

【解説】そもそも濃硫酸と希硫酸は溶質=硫酸、溶媒=水という点は同じです。違いは文字通り濃いか薄いかです。

濃硫酸から希硫酸を作る際に、水のみを加えるので、溶質である硫酸のモルは変わりません。この点に注目して方程式を立てる必要があります。つまり、濃硫酸側から導いた溶質(硫酸分子)のモルと希硫酸側から導いた溶質(硫酸分子)のモルが等しいという式を立てるのです。

まず、必要な濃硫酸をx[mL]とおきます。

濃硫酸側

溶質(硫酸分子)のモルを表したいです。

流れとしては、溶液の体積【x [mL]】⇒密度で溶液の質量に変換【x×1.83[g]】⇒質量パーセント濃度で溶質(硫酸分子)の質量に変換【x×1.83×(98/100)⇒硫酸の分子量で割ってモルに変換 という流れになります。

希硫酸側

溶質(硫酸分子)のモルを表したいです。モル濃度×体積で表すことができます。

硫酸の希釈問題

まとめ

灘・甲陽在籍生100名を超え、東大京大国公立医学部合格者を多数輩出する学習塾「スタディ・コラボ」の化学科講師よりモル濃度、質量パーセント濃度、密度について解説を行いました。しっかりと覚えておきましょう。

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