原子量の定義と求め方、質量数との違い

化学オンライン講義

原子量の定義と意味をわかりやすく解説します。質量数、相対質量、分子量、式量との違いやそれを踏まえたうえで原子量の求め方まで丁寧に解説します。解説担当は、灘・甲陽在籍生100名を超え、東大京大国公立医学部合格者を多数輩出する学習塾「スタディ・コラボ」の化学科講師です。

【原子量の解説の前に】相対質量とは

相対質量とは、炭素原子12Cの質量を12としたとき、これを基準に他の原子の質量を相対的に比べたものです。

質量数12(陽子6個、中性子6個分)の炭素原子の実際の質量は約1.99×10-23 gとあまりにも小さすぎて、計算に用いるには不適切です。

そこで、炭素原子12Cの質量を“12”とおいて、それと比較した数値で質量を表そうとしたのが相対質量です。

定義通りの場合、質量数と相対質量は同じ数値になっています。

原子量とは

各同位体の相対質量にそれぞれの存在比をかけて足した値(加重平均)を原子量といいます。(質量数と一緒で単位はありません。)

<例>

35Cl … 相対質量35,存在比76%

37Cl … 相対質量37,存在比24%

塩素の原子量は

$$35×\frac{76}{100} + 37×\frac{24}{100} ≒ 35.5$$

となります。

計算は、以下のように工夫して行うと楽に解けます。

$$   35×\frac{76}{100} + 37×\frac{24}{100}$$
$$= 35×\frac{76}{100} + (35+2)×\frac{24}{100}$$
$$= 35×\frac{76}{100} + 35×\frac{24}{100} + 2×\frac{24}{100}$$
$$= 35×\frac{76 + 24}{100} + 2×\frac{24}{100}$$
$$= 35 + 2×\frac{24}{100}$$
$$= 35 + 0.48 = 35.48 ≒ 35.5$$

【問題】

銅には63Cuが69.2%,65Cuが30.8%含まれている。銅の原子量はいくらか。

解答解説※タップで表示

【解答】
63×69.2/100 + 65×30.8/100 ≒ 63.6

$$   63×\frac{69.2}{100} + 65×\frac{30.8}{100}$$
$$= 63×\frac{69.2}{100} + (63 + 2)×\frac{30.8}{100}$$
$$= 63×\frac{69.2}{100} + 63×\frac{30.8}{100} + 2×\frac{30.8}{100}$$
$$= 63×\frac{69.2 + 30.8}{100} + 2×\frac{30.8}{100}$$
$$= 63 + 2×\frac{30.8}{100}$$
$$= 63 + 0.616 = 63.616 ≒ 63.6$$

分子量とは

分子式中の各原子の原子量の合計値のことです。

例:H(水素)の原子量 1 とO(酸素)の原子量 16 とすると、H2O(水)の分子量は、1×2+16×1=18となります。

式量とは

組成式,イオン式などの中の各原子の原子量の合計値

例:Na(ナトリウム)の原子量 23 とCl(塩素)の原子量 35.5 とすると、NaCl(塩化ナトリウム)の式量は、23+35.5 =58.5となります。

まとめ

灘・甲陽在籍生100名を超え、東大京大国公立医学部合格者を多数輩出する学習塾「スタディ・コラボ」の化学科講師より原子量の定義と求め方、質量数との違いについて解説を行いました。しっかりと覚えておきましょう。

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