イオン結晶・金属結晶・分子結晶・共有結晶の違い

化学オンライン講義

イオン結晶・金属結晶・分子結晶・共有結合の結晶(共有結晶)の違いと見分け方を詳しく解説します。解説担当は、灘・甲陽在籍生100名を超え、東大京大国公立医学部合格者を多数輩出する学習塾「スタディ・コラボ」の化学科講師です。

イオン結晶とは

イオン結合による結晶です。多数の陽イオンと陰イオンが規則正しく配列して固体に
なっています。化学式は組成式で表します。

イオン結晶の見分け方

金属元素と非金属元素が含まれた物質はイオン結晶です。例えば、NaCl,BaSO4など。
例外として、アンモニウムイオンNH4+を含む場合もイオン結晶です。例えば、NH4Clなど。

融点・沸点

クーロン力(静電気力)がかなり強いので,融点・沸点はかなり高いです。

機械的性質

クーロン力(静電気力)がかなり強いので硬いです。
ただし、強い外力により簡単に割れます(配列がずれると反発力が働くから)。

電気伝導性

固体ではイオンの位置が固定されており電導性はありませんが、融解液や水溶液ではイオンが動けるようになり,電気伝導性があります。(液体状態は流動性があるから)

金属結晶とは

金属結合による結晶です。多数の金属が自由電子により結びついています。

化学式は組成式で表します。

イオン結晶の見分け方

金属元素のみが含まれた物質は金属結晶です。例えば、Ag,Na,Au,Feなど金属の単体です。

融点・沸点

典型元素-多様(アルカリ金属,Hgなどは低い)

遷移元素-かなり高い

機械的性質

展性(二次元的)  Au>Ag>Pt>…,
延性(一次元的)  Au>Ag>Cu>…
(例外Hgは液体)

電気伝導性

よく導きます。しかし、高温になるほど金属原子の熱運動が激しくなり,自由電子が結晶中を通過しにくくなり電気抵抗が大きくなります。

共有結合の結晶(共有結晶)とは

共有結合が際限なく続くことによってできた結晶です。

化学式は組成式で表します。

共有結合の結晶(共有結晶)の見分け方

大学受験で覚えておくべき物質はC,Si,SiO2,SiCの4種類のみです。

融点・沸点

共有結合が非常に強いので,非常に高いです。

機械的性質

共有結合が非常に強いので,極めて硬いです。

ただし、黒鉛のみ薄くはがれやすく,軟らかいです。

電気伝導性

電気伝導性はありません。

ただし、黒鉛のみ電気伝導性があります。

分子結晶とは

非金属のみで構成されるもので、いくつかの非金属原子が共有結合により結合して分子になり,その分子がさらに分子間力によって多数結合して固体になったものです。

化学式は分子式で表します。

分子結晶の見分け方

共有結晶となるC,Si,SiO2,SiC以外の非金属元素のみから構成されているものが分子結晶です。例えば、ドライアイスCO2 ,ナフタレンC10H8,ヨウ素I2などです。

融点・沸点

分子間力が弱いので融点・沸点は低いです。昇華しやすいものが多いです。

機械的性質

分子間力が弱いので軟らかいです。

電気伝導性

電気伝導性はありません。

まとめ

灘・甲陽在籍生100名を超え、東大京大国公立医学部合格者を多数輩出する学習塾「スタディ・コラボ」の化学科講師より、イオン結晶・金属結晶・分子結晶・共有結合の結晶(共有結晶)の違いと見分け方を具体例(入試問題)とともに詳しく解説しました。しっかりと覚えておきましょう。