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”地理はセンスが全て”はウソ!
「問題をこんなに解いているのに、全く点が伸びない。。。」というそこのあなた!少し厳しいことを言うようですが、センスのせいにして勉強方法の見直しや努力から逃げていませんか?確かに、高度なレベルになってくるとセンスが必要かもしれません。でも、それはどの教科もそうなんじゃないでしょうか?(高度なレベル:9割以上とかそのあたりのことを指しています)
”地理はセンス”と、耳にタコができるほど聞いているからって、それを飲み込んでしまってはいけません。地理の得点が伸びない原因を解明しつつ、脳科学に基づき、確実に成績アップにつながる地理の勉強法を解説していきたいと思います!!
地理の試験の内容とは?
地理の試験って何が問われるのでしょうか?いろいろな試験がありますが、ここではたくさんの地理選択者が受けることになるであろうセンター地理の問題を例にとってみていきましょう。
センター地理は、大問6題から構成されています。
1題目:自然環境、2題目:産業、3題目:都市や村落、4題目:世界地誌(どこかの地域を取り上げてそこについての小問が含まれている)、5題目:現代社会の諸問題について、6題目:日本の地域調査(特定の知識がなくても地図を読み取る力などを測る問題が多い)、というふうにまんべんなく出題されます。
地理の特徴としていえるのは、暗記した事項がそのまんま試験にでるというよりは、暗記した事項や、理解した地理的事項から、推察してもっともらしい回答を導く力が点数につながるということです。「頭のつかいどころ!」というタイミングが問題を解くにあたって社会科目の中では最も多いですね。暗記の上で頭を使うというところで、理系科目と似ていると言ってもいいのかもしれません。ですから、暗記量がモノを言うという単純な世界ではありません。インプットは当然のこと、アウトプットの練習もかなり大事になってくるのが地理の勉強の特徴であり、ある人はこれを楽だと感じ、ある人は難しいと感じるわけですね。
でも、あなたがどういう風に感じていても、正しく勉強すれば、高得点をとれるようになるので大丈夫です。高得点ゲットのポイントは、勉強量だけにではなく勉強法にあります!!では、まずはざっくりとした学習の流れを見ていきましょう!
地理の学習のながれ
さきほど見たように、地理の問題を解くためには、知識が必要ですよね。そして、知識の使いかたを、問題を解いていく過程で練習していくことが得点に結びつくのが地理の特徴なんでしたね。問題を解いて直しをしようとした時に、知らない知識ばかりが出てくるようでは、地理の知識を応用するという問題を解く練習をする狙いが達成されません。つまり、アウトプットの練習というよりは、インプット不足を痛感しておしまいになってしまうのです。進歩はあるとはいえ、時間のロスが大きすぎます。問題を解くことには結構時間がかかりますし、直しをするときの復習も手間のかかる作業ですよね。ですから、インプットに一定の時間をかけて問題を見たときに知識に基づいた何らかの思考をできるような状態を作れるようにするのが懸命といえるでしょう。
ですから、最も効率的な地理の勉強法は、必然的に,
- 知識のインプット
- アウトプットの練習(センター演習)
- 志望校対策
という順序になってきますよね。
さて,インプット・アウトプットというのは簡単ですが,実際のところどんなやり方が効率がいいんでしょうか?それぞれの段階において,きちんと効率よく実力アップにつながるような勉強方法をお伝えしていきたいと思います。
地理の知識をインプット~系統地理の後に地誌という順番で~
いまさら!?という感じも否めませんが,そもそも地理って何なんでしょうか?
案外、ぱっと答えられませんよね。
地理とは、空間・自然環境と、経済・社会・文化などの関係を研究する学問なんですね~。
その地理学のなかにも、二つの分野があるんですね。
それが、
- 系統地理
- 地誌
です。地理をいまからはじめるぞ!という方としては「系統地理と地誌?なにそれ??」って感じですよね。全く違く学問なの?と聞かれたら答えはノーです。だいぶ重複している部分もあります。
系統地理とは、地形・天候・経済・産業などのさまざまな分野の様相を”特定の場所に絞らず”まとめて学習するものです。他方で、地誌は、要素別にみていった系統地理に対して、”特定の地域や大陸別に絞って”それぞれの場所の全体像を学んでいくというものです。
双方は関わりあっていて、双方がそろって、地理になるんですね。
タテ塗とヨコ塗と考えてもいいかもしれません。まず、そもそも地理学がどんな視点を持っているのかなーということを系統地理で学んで、その視点を用いて各地域を見ていくのが地誌なんです。わかっていただけましたでしょうか??
重要なのは、系統地理がしっかりわかっていないと、地誌はただの丸暗記と化してしまい、少し視点がかわっただけで,問われている基本知識は変わらなくとも,問題が解けないという事態に陥ってしまうかもしれないということです。
ですから、インプットする際は、系統地理→地誌、という順番で取り組んでください!
インプットには何を使えばいいの?
おススメ参考書に関する記事は、また別に執筆予定ですので、ここでは詳しく述べませんが、地図や図解が充実したものを選ぶことをおススメします。ここで一つ、脳の特性を紹介させていただきますね。
『海馬』のすぐ隣にある『扁桃体(へんとうたい)』という、小さな脳の部位は、記憶の結びつきを強くするのに大きな役割を果たしています。 この『扁桃体(へんとうたい)』は、感情を生み出すところで、喜び、悲しみ、不安などを作り出します。 『海馬』とは隣同士なので、感情の起伏があると『扁桃体(へんとうたい)』が『海馬』を刺激し、『海馬』は重要な情報だと察知し、より記憶しやすくなるので、強く印象に残った思い出は、喜びや悲しみや痛みと共にたった1回の経験だけでもいっぺんに記憶に残ります。 つまり、出来る限り五感を刺激すると、記憶しやすくなります。 そのため、生命維持に関わること以外でも、とても印象深いもの、感動を受けたもの、何度も見たものなどが長期記憶へと移されていきます。
ViCOLLA ホームページより引用
※海馬とは短期記憶を司る脳の一部であり、海馬で重要な知識と判断された事柄が長期記憶として他のところにうつされていきます。
この脳の特性上、イラストだとか地図だとか、テキスト情報以外の補助のものがあれば覚えやすくなるかと思います。定評のある参考書のなかでも、自分が一番気に入ったものを選ぶのが大切です。なにより継続が大切ですからね。
インプットのコツ
地誌を学ぶときは、系統地理と関連付けて覚えていく
さて、一通り、系統地理を学び終わったとします。いよいよ、地誌を学び始めることになるわけです。
地誌を学ぶときは、系統地理と関連付けながら進めていくのが効率的です。まず、なんで関連付けてほしいのかの理由を説明させてください。それには、以下の脳の特徴が関わっています。
脳には、「連合性」という性質があり、物事を関連させると、弱い刺激でも覚えやすくなります。 まず、大きく全体像を覚えて、そのあとに、細かいことを、全体像に関連させて覚えていけば、記憶に残りやすいということになる。 例えば、脳をクローゼットだと想像してください。でたらめに服(情報)を入れると何の関連性もありませんが、あらかじめカテゴリーにわけて服(情報)を整理しておくことで、新しい緑のセーター(新しい情報)を追加するなら、緑の服の棚、セーターの棚、冬服の棚、ウールの棚などに追加するという関連性が生まれます。現実と違い、脳のなかでは、新しい情報(緑のセーター)が入ってくると、そのひとつひとつの情報(カテゴリー)と結びつけられ、覚えやすく(整理されやすく)なります。新しい情報を覚える時に、すでに知っていた他のいろいろな情報と関連づけて記憶したからです。
ViCOLLA ホームページより引用
このように、物事を関連させてやると、記憶として定着しやすいということが、脳科学的にも証明されているんですよね。地誌でまなぶさまざまな知識を、系統地理に関連させてやることで、学習効果が向上するといえるわけです。
”関連付けて”といっても、具体的にどうすればいいの?と思う方も多いかと思いますので、手っ取り早く、例を挙げつつお伝えしていければと思います。
例えば、中東を学んでいるとします。
中東といったら、アラブ首長国連邦・オマーンとかですね。地誌では、地域や国ごとに、それぞれの地理的特徴を学んでいくんでした。中東といえば、石油がよく取れる地域!これに関連することとして、中東が石油が算出される新期造山帯に位置するということ、石油掘削をするための労働者として外国人労働者が多いというのも特徴です。しかし、この二つのこと、系統地理ではそれぞれが別の分野として認識されますから、別々に学ぶことになります。
系統地理の知識を定着させてから、地誌の学習を始めよう!
さて、話題として、やや内容が前後するようですが、あえてこの順番で記事を書かせていただいています。上記のように、系統地理の知識をていちゃくさせてから、地誌の学習を始めてほしいのですが、定着ってどの程度のレベルのことをいっているの?という疑問が真っ先に浮かんできますよね。地誌を学ぶときに系統地理の知識と関連付けられるようにすることが重要である以上、系統地理をざっとみたという程度で地誌に進むのは賢明な判断とは言えないでしょう。いまから、地誌に移るに十分なだけ系統地理の知識とはどの程度のものなのかを解説していきたいと思います。
先ほどの例について考えてみましょう。地誌で中東について学んでいるとき、新期造山帯という言葉がでてきても、「新期造山帯ってなにだったっけ~汗」ときょとんとしてしまうようでは関連付けるという状況にはなりませんよね。新期造山帯という言葉がでてきたら、ああ、中東辺りの新期造山帯はアルプス山脈にもつながっていくなあと新期造山帯が通っているイメージを思い浮かべたり、地球上の他の新期造山帯のラインをぼんやり思い浮かべることができるくらいまで知識が身についていて、地誌で学ぶ事実と、系統地理を学んであらかじめ身についている知識を絡めて考えることができるようになっていることが学習効果を高めるにおいて大事なことなんです。系統地理なくして、地誌なしと言ってしまっても過言ではないです。焦りすぎて系統地理の知識があまりにも定着していない状況で地誌をはじめてしまうと、地誌を学んでも学習効果が薄くかなり非効率的であるといえますので、気を付けていただければと思います。
このように、地誌の学びを咀嚼できるようになる程度の力を系統地理の学習で身につけているかどうかが、系統地理から地誌に進める状況かそうでないかの重要な基準となってくるのです。
地図っておぼえないといけないの?
答えとしては,最低限は覚えなければなりません。最低限,というのは,よく出てくる地名,都市名なのにもかかわらず,どこに位置しているのかチェックせずに突き進むのはやめてほしいという程度です。日本の地名もおなじような感じです。各工業地域の主要都市くらいは知っておかなければ,都市名とグラフを結びつけるような問題で困ってしまうわけですね。とはいえ,インプットのみの段階でそのあたりの塩梅を見極めるのは難しいですから,ここに関してはアウトプットしながら,ああ,大事な所なんだなぁと、その都度押さえていくことになると思います。
統計は覚えないといけないの?
覚えなければならない,頻出統計は存在します。が,さほど多くはありません。
統計を覚える際に気をつけていただきたいのは,その統計がとられた年代です。あまりにもふるいと,社会情勢が変わっていたり,資源が枯渇していたりして,現状の統計と大きく違っていることがあり,間違えたこたえを導いてしまう原因となりかねません。すべての品目について覚えるというのは,現実的ではないですし,そうしていなくても解けるような問題ばかりなので,過度に心配する必要はありません。
地理 アウトプットの方法 ~直しが大切~
間違い直しの正しい方法
間違い直しをする際に,何を机の上で開いていますか?問題と解説冊子だけ,という方は,間違い直しのやり方に改善の余地ありです!解説にのっていることって、あくまでも解答の足掛かりとなる知識のみ、ですよね。
しかし、上でも説明させていただいた通り、地理の知識は点で覚えても問題を解くに当たって協力な武器となってくるのかといえばそうではないのです。あくまでも、基本の論理を抑えることで推察し正しい答えを導けるように問題は作られているのですから、選択肢をみてもっともらしい選択肢を選ぶことができればよいのですよね。繰り返しますが、与えられた選択肢から最もらしい答えを選ぶことができればよいのです。例えば、石油の算出の統計を丸暗記していなかったから問題がとけない、というわけではないのです。石油がどのあたりで多く産出されるのか、その背景として新期造山帯に位置しているということがある。ということを考えれば、新期造山帯に位置しない国はまず消去できますよね。このように段階を踏んで考えていけば解けてしまう問題がほぼすべてなのです。
間違い直しの目的は、解けなかった問題を復習し自分の知識のヌケを補ってやったり、着想の方法を身につけたりすることによって、解ける問題を増やす、ということですよね。間違える、ということは、自分の弱点を発見することであって、成長につながるんです。間違えない人なんていないし、そんな人たちは勉強する必要ないですよね。
したがって、解答冊子で行うのは自分がわかっていなかったポイントを探しだすということであって、そのポイントの再理解・見直しに関しては、解答冊子だけでは不十分な場合が多いといえるんですね。
なので、間違い直しをするときは、解答冊子で、自分が抜けていた単元・範囲を把握した上で、そこを普段使っている参考書や教科書などで復習してやることが大事です。
受験生はみんな、頑張って勉強しているんですね。あの人の10倍の問題数を解こう!というよりも、ほかの人よりも間違いから効率的に学ぼう!と考える方が、現実的だし、効率的ですよね。
勘を使って解いた問題は見直し必要!
正解したから,見直しは不要。と思ってしまいがちですし,忙しいときに,正解していた問題をわざわざじっくり復習しようなんて思いませんよね。しかし,正解にもいろいろな正解があります。選択問題ならなおさらです。何もわからなかったけど取りあえず選択して答えを書いておいてそれが偶然正解であった場合・2択までは絞れたけれどもそこから先は勘で解いて正解した。ハッキリ言って,それは正解とは言えません。本番でも正解できるようにする,というのが目的なんですから,そのような問題はみなおして,次は確信を持ったうえで正解できるようになるレベルまで引き上げてやることが,復習の意味なのです。間違え直しとおなじように取り組むべきですよね。
試験本番で確実に正解できるような実力をつける、という目的を、見失わないように気を付けてくださいね!!
間違えるのが当たり前,という気持ちで解いてはいけない!
そんなの精神論ではないか!という声が聞こえてきますが,実はそうではありません。問題に対して一定の思い入れがあることによって,間違えた時,合っていた時それぞれに感情がうまれて,その感情は印象となって,その問題に絡んでいた知識の定着率を向上させるのです。問題を解くからには正解をめざして,頭をつかって進めていきましょう。精神論ではなく,脳科学的にも,解くときの心構えは大切といえるんですね。
地理の二次試験対策
センター試験だけで地理をつかうという訳ではないひともいらっしゃると思います。とはいえ,あまり多くないですよね。どのように対策すればいいのか,など,情報を集めることに苦労する印象があります。二次試験では,それぞれの学校の傾向を知ったうえで,模試の過去問,実際の過去問を解いて,それを直す,そしてそこで必要とされていた知識に不安があればもう一度確実なインプットを行なうということをしていきます。センター試験対策と大差ありません。ただ,論述問題が課される場合は,自分で説明できなければならないわけですから,また別の練習が必要となってきます。
地理を楽しむといいことがいっぱい!!
ただでさえやることが多いのに、たいして興味もない地理とか勉強する気起きないわ~だっる。。。って思うのも共感できます。ですが、そういったネガティブな気持ちで学んだら、余計に疲れるだけですよね。どうせ自分の志望校に入るためには、地理の点数が必要なわけです。それなら、楽しもう!!!
地理がわかると、旅行が楽しくなりますよ。いろんなことが推察できるようになります。さらに、楽しむことで、学習効果も向上するんです。
何事も楽しむことで「シータ波」という脳波が出て短期記憶を司る「海馬」が刺激され、いとも簡単に長期記憶に移行します。誰だって好きなものに関することは簡単に覚えられるはずです。(例えば野球好きなら野球選手の名前など)
地理の脳科学式勉強法 まとめ
- 地理の実力はセンスではなく学び方によって決まる。
- 地理にもしっておかなけらばならないこと(=必須暗記事項)がある。
- 知識のインプットは、系統地理→地誌の順番で。
- アウトプットをする際は、志望校の問題形式を把握した上ですすめる。
- アウトプットの際、復習がとても大切。その問題を解くにあたって使うべき知識で抜けているところを探しそこを塗りなおしていくイメージですすめる。
- 楽しむと自分もラクになるし学習効果も上がる!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。方法さえ間違えず、コツコツと勉強すれば、絶対に結果はでます。みなさんの努力が実を結ぶことを確信しています!!他の記事もぜひ読んでみてくださいね。