漢文【完全版】入試で必要な再読文字10個の一覧まとめ

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【例文付き】再読文字とは、返り点に関係なくまず副詞として読み、その後、返り点に従って、下から戻って動詞・助動詞として読む漢字のことです。入試で頻出となる再読文字は「未」「将」「且」「当」「応」「宜」「須」「猶」「由」「盍」の10個です。これらの重要事項をまとめて紹介します。

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再読文字とは

 

漢文(中国の古典語)はもともと外国語なので、日本語とはまったく異なる構文です。

再読文字とは、返り点に関係なくまず副詞として読み、その後、返り点に従って、下から戻って動詞・助動詞として読む漢字のことです。

 

入試で頻出となる再読文字は以下です。

 

「未」「将」「且」「当」「応」「宜」「須」「猶」「由」「盍」

 

これらの覚え方は、【漢文】暗記嫌いでもスイスイ覚えて満点を取れる脳科学式勉強法を参照してください。以下では覚えるためのイメージ付け、例文を解説していきます。

 

再読文字の読み方、書き下し方についての解説

例えば、「未定」という熟語を考察してみましょう。

「不定」とは単に、「定まっていない」という意味ですが(具体例:住所不定)、

「未定」は「まだ定まっていない(今は定まっていないがそのうち定まるはずだ)」という意味を表します(具体例:タイトル未定)。

つまり、「不」が単なる否定を表しているのに対して、「未」は「まだ……ない」という意味を表しています。

このうち「まだ」は副詞であり連用修飾語なので、日本語では前から係りますが、「ない」は打ち消しを表す助動詞であり、日本語では動詞の後ろにつきます

これは文語文(書き下し文)でも同様で、「未定」の書き下し文は「未だ定まらず」となり、やはり「いまだ」という副詞と「ず」という助動詞の組み合わせとして表されます。

 

このように、「未」を書き下す時は、「前から係る」成分と「後ろから返る」成分が同居するため、「まず副詞で読んで後で助動詞の読みを加える」ことになります

これが再読文字の仕組みです。返り点は次のように付けます。

 

再読文字例文1「未」

 

「まだ決まっていないこと」は次のようになります。

 

再読文字例文2「未」

 

このように、二度目に読む時の(ふりがな及び)送り仮名は、漢字の左側に付けましょう。

再読文字の入試頻出文字一覧

読み方:いまダ~ず
訳:まだ~ない

「未」は「まだ実現(実行)していない行為・状態」

詳細は再読文字「未・将・且」はこれで完璧 を参照してください。

 

将・且

読み方:まさニ~(セ)ントす
訳:これから(いまにも)~しようとする。いまにも~になろうとする。

「将」「且」は英語のbe going toに当たる表現です。単純な未来にも意志を含む未来にも用いられます。

詳細は再読文字「未・将・且」はこれで完璧 を参照してください。

 

当·応

読み方:まさニ~べシ
訳:当然~すべきだ。~しなければならない。
~すべきだろう。きっと~だろう。

「可」と同じく「べし」という助動詞を当てますが、「当然」「相応」の意味を表すため、「まさニ」という副詞を添えて読みます

詳細は再読文字「当・応・宜」はこれで完璧を参照してください。

 

読み方:よろシク~べシ
訳:~するのがよい。

「宜」は「適宜」という熟語もあるように、「……するのが適切である」という意味を表す字です。「よろシク……べシ」と読みます。

詳細は再読文字「当・応・宜」はこれで完璧を参照してください。

 

読み方:すべかラク~べシ
訳:ぜひ~する必要がある。かならず~しなければならない。

「須」は「必須」という熟語もあるように、「必ず……するべきである」という意味を表す字です。「すべかラク……べシ」と読みます。

詳細は再読文字「須・猶・由・盍」はこれで完璧を参照してください。

 

猶・由

読み方:なホ~ガごとシ
訳:ちょうど~と同じようなものだ。あたかも~のようだ。

 「猶」はよく似たものを並べて、「……はまるで……のようなものだ。」「……は……によく似ている。」という意味を表します。「なホ(……ノ・ガ)ごとシ」と読みます。

「由」の字も、「猶」と音読みが同じなので同様の意味で用いられることがあります。

詳細は再読文字「須・猶・由・盍」はこれで完璧を参照してください。

 

読み方:なんゾ~ざル
訳:どうして~しないのか

「盍」の字は、音読みが「カフ」であり、「何不」と同じになることから、英語のwhy notの意味を表します。「なんゾ……ざル」と読みます。

詳細は再読文字「須・猶・由・盍」はこれで完璧を参照してください。

 

まとめ

 

力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、入試で頻出となる再読文字「未」「将」「且」「当」「応」「宜」「須」「猶」「由」「盍」10個についてまとめました。

 

センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。

 

『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生

河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。

力石智弘講師

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