【例文付き】再読文字「須」は「必ず……するべきである」という意味を表す字です。「猶」は「…はまるで…のようなものだ。」という意味を表します。「盍」の字は、音読みが「カフ」であり、「何不」と同じになることから、英語のwhy notの意味を表します。本記事では、再読文字「須・猶・由・盍」の例文と意味、読み方、働き、覚え方について、大手予備校一流プロ講師が構文レベルから詳しく解説します。
再読文字の入試頻出文字一覧
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再読文字の読み方、書き下し方についての解説
例えば、「未定」という熟語を考察してみましょう。
「不定」とは単に、「定まっていない」という意味ですが(具体例:住所不定)、
「未定」は「まだ定まっていない(今は定まっていないがそのうち定まるはずだ)」という意味を表します(具体例:タイトル未定)。
つまり、「不」が単なる否定を表しているのに対して、「未」は「まだ……ない」という意味を表しています。
このうち「まだ」は副詞であり連用修飾語なので、日本語では前から係りますが、「ない」は打ち消しを表す助動詞であり、日本語では動詞の後ろにつきます。
これは文語文(書き下し文)でも同様で、「未定」の書き下し文は「未だ定まらず」となり、やはり「いまだ」という副詞と「ず」という助動詞の組み合わせとして表されます。
このように、「未」を書き下す時は、「前から係る」成分と「後ろから返る」成分が同居するため、「まず副詞で読んで後で助動詞の読みを加える」ことになります。
これが再読文字の仕組みです。返り点は次のように付けます。
「まだ決まっていないこと」は次のようになります。
このように、二度目に読む時の(ふりがな及び)送り仮名は、漢字の左側に付けましょう。
それでは今回は、「須」「猶」「由」「盍」の解説をしていきます。
再読文字「須」の例文と解説
読み方:すべかラク~べシ
訳:ぜひ~する必要がある。かならず~しなければならない。
「須」は「必須」という熟語もあるように、「必ず……するべきである」という意味を表す字です。「すべかラク……べシ」と読みます。
「須」と「常」がともに「思」を修飾しています。「思」の目的語が「病苦時」です。「つねに病で苦しい時のことを思い出さなければならない。」という、強い要求・義務を表す表現になります。
再読文字「猶」「由」の例文と解説
読み方:なホ~ガごとシ
訳:ちょうど~と同じようなものだ。あたかも~のようだ。
「猶」はよく似たものを並べて、「……はまるで……のようなものだ。」「……は……によく似ている。」という意味を表します。「なホ(……ノ・ガ)ごとシ」と読みます。
「過」と「不及」が何らかの点でよく似ている、ということです。例えば、「食べ過ぎる」のも「栄養が足りない」のも、体に悪い点では同じである、ということです。従って、この文は「やり過ぎるのは、し足りないのと同じようなものだ。」という意味になります。
「由」の字も、「猶」と音読みが同じなので同様の意味で用いられることがあります。
再読文字「盍」の例文と解説
読み方:なんゾ~ざル
訳:どうして~しないのか
「盍」の字は、音読みが「カフ」であり、「何不」と同じになることから、英語のwhy notの意味を表します。「なんゾ……ざル」と読みます。
「言」が述語動詞、「汝志」がその目的語です。「どうして各自、自分の意思を表明しないのか。」という意味です。
文末が「ざる」と連用形になっているのは、この文が疑問文であり、「ぞ」という係助詞もついているからです。
まとめ
力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、再読文字「須」「猶」「由」「盍」の例文を抜粋しました。
センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。
『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生
河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。