漢文【3分でわかる】再読文字「将」と「且」の違いと「且」の瞬間判別法

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【例文付き】再読文字「将」と「且」とは何が違うのか、そして「且」の使い方は再読文字以外にもいくつかあります。本記事では、再読文字「将」と「且」の違いと「且」の瞬間判別法について、大手予備校一流プロ講師が構文レベルから詳しく解説します。

再読文字「将」「且」の違いと例文の解説

 

「将」「且」は英語のbe going toに当たる表現です。単純な未来にも意志を含む未来にも用いられます。

 

結論!!再読文字としての「将」と「且」に大きな違いはありません。

どちらも読み方は、「まさに~す」ですし、意味も「今にも~ようとする/~ようとしている」で全く同じです。使い分けも特にありません。

 

以下に例文と解説を示します。

 

再読文字例文5「将・且」

 

Aの文は、「長江に従おうとして東に下る」あるいは「長江に従って東に下ろうとしている」のいずれかですが、後者の意味になることは明らかでしょう。

従って「将」は「下」に係っています。Bの文は「有……者」の枠の中に「者」の修飾語として「且至楚」がある形です。従って、「楚の国にたどり着こうとしている人がいる。」という意味になります。

 

再読文字例文6「将・且」

詳細は再読文字「未・将・且」はこれで完璧を参照してください。

 

再読文字ではない「且」(かつ)の意味

 

再読文字ではない「且」は“かつ”と読み、大きく分けて以下2つの用法があります。

 

抑揚の協調として使う「且」

 

抑揚とは、「死んだ馬でさえ買うのだから、まして生きた馬を買う人は必ずいるだろう」のような、予測に基づく強調表現のパターンのことです。この句形は漢文の評論の結論部分に用いられることが多く、その解釈・把握が求められる問題がよく出されます。

また、「まして生きた馬を」といえば、そのあとの結論はわかりきっているので、その結論部分は省略されるのが基本です。

 

抑揚例文18「且」

 

「況」は状況の「況」です。「死馬」という状況では、「生馬」については言うまでもない、というのがこの構文の意味です。「況」は「いはンヤ」と読みましょう。

また、「死馬」には「スラ」という副助詞を送ります。普通の古文では「だに」を使うところですが、漢文では「すら」を用います(ちなみに古文では「いはんや」よりも「まして・まいて」を多用する)。「生馬」には必ず「ヲ」を送ります。この「ヲ」は目的格を表しているのではありません。そして最後の「乎」は「や」と読みます。

そして、句形を強調するため、「且」という漢字を加えることが多いです。

 

「死馬」と「生馬」を並べ、「買之」という状況(VO構造=「之」が指しているのは「死馬」=「死馬」はO)では「生馬」を買うのは当然だ、という意味を表しています。

 

意味:死んだ馬でさえ買うのだから、生きた馬を買う(人は必ずいる)だろう。

 

 

並行・添加として使う「且」

 

二つの動作・状態が並行あるいは添加して行われることを表します。

 

並行例文19「且」

 

「且」の見分け方

 

今まで見てきたように、「且」には「まさに~す」という再読文字として使うことも、「かつ」という抑揚の強調や並行として使うこともあります。

 

それではどのように見分ければよいか。

 

ずばり、返り点で判断します。

 

「且」自身に返り点がついている場合 … 再読文字
「且」自身に返り点がついていない場合 … 且(か)つ

 

と判断します。

 

まとめ

 

力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、再読文字「将」と「且」の違いと「且」の判別の仕方をご紹介しました。

 

センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。

 

『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生

河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。

力石智弘講師

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