漢文【3分でわかる】返読文字「所・所以」はこれで完璧

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【例文付き】漢文において返読文字とは、日本語と逆の語順になるため、下から返って読まなければならない漢字のことです。返読文字は、構文・語順を理解し、センター試験頻出の白文問題に対応するためには重要です。本記事では、「所・所以」の例文と意味、読み方、働き、覚え方について、大手予備校一流プロ講師が構文レベルから詳しく解説します。

返読文字の入試頻出文字一覧

漢文(中国の古典語)はもともと外国語なので、日本語とはまったく異なる構文です。特に、動詞(他動詞)と目的語の関係、助動詞と動詞(などの自立語)との関係は日本語と正反対であり、そのため返読する必要がありました。

返読文字とは、そのような「他動詞」や「助動詞」以外に、日本語と逆の語順になる漢字のことです。

 

入試で頻出となる返読文字は以下です。

① 有無を表す表現 …「有」「無」「多」「少」
② 認定を表す表現 …「難」「易」「欲」「得」「不得」「能」「不能」
③ 前置詞的・接続詞的なもの …「為」「以」「自」「従」「於」「乎」「于」「雖」
④ 「与」
⑤ 「所」「所以」

 

その他の返読文字については入試で必要な5種類の返読文字一覧まとめを参照してください。
これらの覚え方は、【漢文】暗記嫌いでもスイスイ覚えて満点を取れる脳科学式勉強法を参照してください。

 

以下では覚えるためのイメージ付け、例文を解説していきます。

 

今回は、⑤ 「所」「所以」

の解説をしていきます。

 

漢文独特の返読文字 …「所・所以」

 

「所」という字は漢文独特の字で、日本語に機械的に当てはめることは不可能です。次の例文で考えていきましょう。

 

 

「所」という字は、直後に他動詞を伴い、その目的語(対象)を名詞化する働きがあります。つまりこの文では「所好」の二字で「好むもの(何を好んでいるか)」という意味を表しています。「我」はその「所好」の主語ですから「我所好」で「私が好きなもの」、この三字が「書」に対する主語となって、全文の意味は「私が好きなものは書物である。」となります。

訓点の付け方及び書き下し文は

 

 

となります。「我」の送り仮名「ガ」は「好」に対する主格を表す格助詞です。「我所好」は名詞節ですから「我」には格助詞が必要であり、「われノ」としてもいいのですが、「我・吾」の場合は「わガ」と読むことが多いです。

次の文も同様に考えましょう。

 

 

「吾」が主語、「借」が述語動詞、「汝所持書」が目的語です。「汝所持」は「書」の修飾語であり、「あなたが持っているもの」=「書物」であることを示しています。従って全文の意味は「私はあなたが持っている書物を借りたい。」となります。

 

 

「所」の送り仮名「ノ」は「書」に係る連体修飾語であることを示す連体格の格助詞です。また、「借」の送り仮名の「ン」は意志の助動詞「む」です。

 

「所以」は「ゆゑん」と読み、「理由」「手段」「根拠」などの意味を表す名詞です。これは「以」という前置詞が表す内容を名詞化したもの(そのために……となるもの、それゆえ……になるもの)です。

 

 

まとめ

 

力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、返読文字一覧と「所・所以」の例文を抜粋しました。

 

センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。

 

『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生

河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。