【例文付き】漢文において返読文字とは、日本語と逆の語順になるため、下から返って読まなければならない漢字のことです。返読文字は、構文・語順を理解し、センター試験頻出の白文問題に対応するためには重要です。本記事では、「自・従」の例文と意味、読み方、働き、覚え方について、大手予備校一流プロ講師が構文レベルから詳しく解説します。
返読文字の入試頻出文字一覧
漢文(中国の古典語)はもともと外国語なので、日本語とはまったく異なる構文です。特に、動詞(他動詞)と目的語の関係、助動詞と動詞(などの自立語)との関係は日本語と正反対であり、そのため返読する必要がありました。
返読文字とは、そのような「他動詞」や「助動詞」以外に、日本語と逆の語順になる漢字のことです。
入試で頻出となる返読文字は以下です。
以下では覚えるためのイメージ付け、例文を解説していきます。
今回は、③ 前置詞的・接続詞的なもの …「自」「従」
の解説をしていきます。
前置詞的・接続詞的な返読文字 …「自」「従」
英語のforやbyのような前置詞に相当する表現が漢文にもあり、目的語を伴って前置詞句を作り、動詞などを修飾します。ただし、英語の前置詞句は普通後置されるが、漢文の前置詞句は修飾語として被修飾語の前に置かれます。具体的に説明していきましょう。
「自」「従」は、動作の起点(時間的にも空間的にも)を表す前置詞です。
「自」「従」は「(……)よリ」と読みます。
「剣」が主語、「墜」が述語動詞です。この「墜」に対して、「自舟中」という前置詞句が上から修飾し、「於水」という前置詞句が下から補足説明していることがわかります。「舟中」は剣が落ちた起点(どこから落ちたか)、「水(川)」は剣が落ちた場所(どこに落ちたか)を表します。
今の例は空間的な起点を表すものですが、時間的な起点(いつから)を表すこともあります。
まとめ
力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、返読文字一覧と「自・従」の例文を抜粋しました。
センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。
『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生
河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。