漢文【5分でわかる】再読文字「当・応・宜」はこれで完璧

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【例文付き】再読文字「当・応」は「当然」「相応」の意味を表すため、「まさニ」という副詞を添えて読みます。「宜」は「適宜」という熟語もあるように、「……するのが適切である」という意味を表す字です。単純な未来にも意志を含む未来にも用いられます。本記事では、再読文字「当・応・宜」の例文と意味、読み方、働き、覚え方について、大手予備校一流プロ講師が構文レベルから詳しく解説します。

再読文字の入試頻出文字一覧

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再読文字の読み方、書き下し方についての解説

例えば、「未定」という熟語を考察してみましょう。

「不定」とは単に、「定まっていない」という意味ですが(具体例:住所不定)、

「未定」は「まだ定まっていない(今は定まっていないがそのうち定まるはずだ)」という意味を表します(具体例:タイトル未定)。

つまり、「不」が単なる否定を表しているのに対して、「未」は「まだ……ない」という意味を表しています。

このうち「まだ」は副詞であり連用修飾語なので、日本語では前から係りますが、「ない」は打ち消しを表す助動詞であり、日本語では動詞の後ろにつきます

これは文語文(書き下し文)でも同様で、「未定」の書き下し文は「未だ定まらず」となり、やはり「いまだ」という副詞と「ず」という助動詞の組み合わせとして表されます。

 

このように、「未」を書き下す時は、「前から係る」成分と「後ろから返る」成分が同居するため、「まず副詞で読んで後で助動詞の読みを加える」ことになります

これが再読文字の仕組みです。返り点は次のように付けます。

 

再読文字例文1「未」

 

「まだ決まっていないこと」は次のようになります。

 

再読文字例文2「未」

 

このように、二度目に読む時の(ふりがな及び)送り仮名は、漢字の左側に付けましょう。

 

それでは今回は、「当」「応」「宜」の解説をしていきます。

 

再読文字「当」「応」の例文と解説

当·応
読み方:まさニ~べシ
訳:当然~すべきだ。~しなければならない。
~すべきだろう。きっと~だろう。

「当」は「当然……すべきである、当然……はずだ」、「応」は「……するに相応である」という意味を表します

「可」と同じく「べし」という助動詞を当てますが、「当然」「相応」の意味を表すため、「まさニ」という副詞を添えて読みます

 

再読文字例文7「当・応」

 

それぞれ下には「勉励」「知」という動詞しかないので、構文は明白です。「時が来たら勉学に励むべきである。」「故郷のことを知っているに違いない」という意味を表します。

 

再読文字例文8「当・応」

 

再読文字「宜」の例文と解説


読み方:よろシク~べシ
訳:~するのがよい。

「宜」は「適宜」という熟語もあるように、「……するのが適切である」という意味を表す字です。「よろシク……べシ」と読みます。

 

再読文字例文9「宜」

 

「宜」が修飾している「在」は「有」と同じく存在を表す動詞ですが、「有」とは異なり、「A在B」の形で「AはBにある」という意味を表します。

「仁者」が主語、「高位」が「在」に対する補足説明です。

「有能な人は高い位に就くべきだ。」「徳の高い人こそが高い位にいるのがよいことだ。」という意味です。

 

再読文字例文10「宜」

 

まとめ

 

力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、再読文字「当」「応」「宜」の例文を抜粋しました。

 

センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。

 

『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生

河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。

力石智弘講師

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