【例文付き】漢文において返読文字とは、日本語と逆の語順になるため、下から返って読まなければならない漢字のことです。返読文字は、構文・語順を理解し、センター試験頻出の白文問題に対応するためには重要です。本記事では、「難・易・欲」の例文と意味、読み方、働き、覚え方について、大手予備校一流プロ講師が構文レベルから詳しく解説します。
返読文字の入試頻出文字一覧
漢文(中国の古典語)はもともと外国語なので、日本語とはまったく異なる構文です。特に、動詞(他動詞)と目的語の関係、助動詞と動詞(などの自立語)との関係は日本語と正反対であり、そのため返読する必要がありました。
返読文字とは、そのような「他動詞」や「助動詞」以外に、日本語と逆の語順になる漢字のことです。
入試で頻出となる返読文字は以下です。
以下では覚えるためのイメージ付け、例文を解説していきます。
今回は、② 認定を表す表現 …「難」「易」「欲」
の解説をしていきます。
認定を表す返読文字 …「難」「易」
例えば「可」という助動詞は、「〜できる」「〜してもよい」という、話者・筆者の判断・認定を表す表現です。こういう表現は助動詞で表すことが多いですが、慣習上あるいは日本語(文語文)としての表現上、助動詞としてではなく動詞や形容詞として読むものがあります。これは元来は助動詞的な表現ですので、返読されることになります。
「難」「易」は、「〜することが難しい・〜しにくい」「〜することはたやすい・〜しやすい」という意味を表す表現です。
日本語(現代語)では「考えがたい」「食べやすい」などと、(補助)形容詞で表現し、文語文でも同様ですが、漢文では動詞の前に置かれ、日本語と逆順になります。
「少年」「学」がそれぞれ主語、「老」「成」が述語動詞です。その「老」「成」にそれぞれ「難」「易」が付いて、「歳を取るのはたやすい/簡単に歳は取ってしまう」「完成するのは難しい(ものだ)/なかなか完成しがたい」という意味を表しています。
訓点の付け方及び書き下し文は次のようになります。
認定を表す返読文字 …「欲」
「欲」は「……したい」という希望・要求の意味を表す字です。
(まれに「……しようとしている」という単なる未来を表すことがあります。)
はまさにI want to read the book.の意味を表しています。
「読」む行為は「まだ実現していない行為」なので、未然形にして意志の助動詞「ン(む)」を付けます。
まとめ
力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、返読文字一覧と「難・易・欲」の例文を抜粋しました。
センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。
『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生
河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。