漢文【5分でわかる】返り点「一二点」の付け方はこれで完璧

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【例文付き】漢文とはもともと「古典中国語(白文)」という外国語です。つまり“文法体系”(=語順)が日本語と違います。このため、語順を変えて日本人が読めるようにするために「返り点」を付けます。本記事では、返り点「一二点」の付け方のルールに加え、構文・品詞レベルで完全理解できるよう大手予備校一流プロ講師が徹底解説します。

そもそも漢文の「返り点」とは

そもそも返り点とは

「漢文を並び替えて、日本語のように読むための記号」です。

漢文とはもともと「古典中国語」という外国語なので、中国語の文法で書かれています。

昔の日本人は、中国語の語順を変えて日本語のように読む工夫を施しました。

それが、「返り点」です。

 

漢文の「返り点」レ点、一二点、上下点などの基本ルール

訓読の基本ルール(書き下し文への直し方)は、

 

  1.  上から順番に読む
  2.  返り点がついた漢字はいったん飛ばして進み、「レ点・一点・上点」があったら戻って読む

 

です。

この前提のもと、それぞれの返り点のルールを確認しましょう。

 

 

一二点以外の返り点については以下を参照してください。
返り点「レ点」の付け方はこれで完璧
返り点「上下・甲乙丙」の付け方はこれで完璧

返り点「一二点」の付け方と読み方、いつ付けるべきなのかを文法に基づいて解説

 

一二点が必要な時はずばり、下記のタイミングです。

 

  1.  SVO構造のとき※ただしOが二文字以上
  2.  SVOO構造のとき
  3.  助動詞(不,可)の後ろの動詞が二語のときや名詞節での利用
  4.  再読文字→ 【完全版】入試で必要な再読文字10個の一覧まとめ
  5.  返読文字→ 【完全版】入試で必要な5種類の返読文字一覧まとめ

本記事では、1.と2.と3.について解説します。

 

漢文のSVO構造での返り点「一二点」の付け方と読み方(書き下し文のルール)

2語以上の目的語

 

漢文では、動詞の目的語は、英語と同じく、動詞の後に置かれます。

VO構造は日本語とは順序が逆になるので、返り点が必要です。

 

例文1

例文2

 

それぞれ一字目が「主語」、二字目が「述語動詞」、三字目以降が「目的語」です。

このように、目的語が二字以上の場合は「一二点」などを用います。

ここで用いられた「一二点」は、その間に挟まれた部分が塊になって前の動詞に「返る」ことを表しています。

 

ちなみに目的語が一字の場合は「レ点」を用います。

 

参照⇒返り点「レ点」はこれで完璧

 

名詞節の目的語

さて、以下はどうでしょう。

 

念の為に言うと、これを「私が見たら鳥が鳴いた。」と解釈することももちろん可能です。ですが、もう一つ、「私は鳥が鳴いているのを見た。」とも解釈できます。

こちらの方の解釈では、

「我」が主語、「見」が述語動詞、「鳥鳴」がその目的語であり、目的語となっている

名詞節(主語や動詞を含む2語以上のまとまりで、名詞扱いする)

の中の「鳥」が主語、「鳴」が述語です。

 

つまり、英語でいうと、I saw a bird was singing.と同じ構造、意味です。

従って、この場合の訓点と書き下し文は、

 

 

「目的語」の名詞節が一二点で囲まれて塊になっていることが確認できます。

また、「我」は文の主語であるから助詞なし(送り仮名なし)ですが、目的語になっている名詞節の主語である「鳥」に助詞をつけないと区別がつかなくなるので、節の主語は主格の格助詞「ノ」を送ります。

動詞が2語(縦棒,ハイフン)

述語動詞が二字(以上)の場合、たとえば「観察」になった場合はどうなるでしょうか。

 

 

この文では「鳥鳴」の塊から「観察」の塊に返ることになります。

「二点」を付ける場所は、「鳴」の次に読む漢字である「観」ですが、ここに二点と付けるだけでは「察鳥鳴」が塊になってしまいます。そこで、「観察」を塊にするために「観」と「察」をハイフン「―」でつなぎます。

 

 

 

漢文のSVOO構造での返り点「一二点」の付け方と読み方(書き下し文のルール)

次に、英語の第四文型的なもの、すなわち目的語を二つ取る動詞の場合を見ていきましょう。

「贈与」を表す動詞がその典型です。

 

 

それぞれ、

「王」「孔子」が主語、「賜」「教」が述語動詞、「孔子」「王」が(間接)目的語、「千金」「礼」が(直接)目的語です。

 

 

返り点は、そう読まないと日本語として成り立たない場合に語順を変えるために用いられます。従って、「わざわざひっくり返さなくても通じる」場合はつけてはいけません。たとえば、次のような読み方は誤りです。

 

 

 

漢文の助動詞(不,可)での返り点「一二点」の付け方と読み方(書き下し文のルール)

日本語の助動詞は自立語の下に付き、下へ下へとどんどん続いていきます。英語の助動詞は動詞の前に置かれ、原則として一語だけが付きます。英語と同じく、漢文の助動詞は動詞などの前に置かれますが、二語三語と続いていくこともあります。ここでは、許可や可能を表す「可」と否定表現の「不」を取り上げます。

 

※レ点についてはこちらを参照⇒返り点「レ点」はこれで完璧

 

【口語訳①】私は鳥が鳴いているのを見ていない。

【口語訳②】私は鳥が鳴いていないのを見ている。

 

という文を作ってみましょう。

それぞれ、打ち消すべき動詞は①「見」、②「鳴」であるから、その上に「不」を付けて

 

 

とすれば良いです。

②の文の「不」の下の返り点は、「鳴かず」のために「レ点」、「ざるを見る」のために「一点」が付いています。レ点と一点の単なる組み合わせです。

 

 

この場合、「不」につく返り点がレ点ではないことに注意してください。「不」は「観察」という塊から返るので、レ点は使えません。

 

 

まとめ

 

力石智弘先生の著書『脳TEC漢文(ドゥクエスト)』より、一二点を抜粋しました。

 

  1.  SVO構造のとき※ただしOが二文字以上
  2.  SVOO構造のとき
  3.  助動詞(不,可)の後ろの動詞が二語のときや名詞節での利用
  4.  再読文字→ 【完全版】入試で必要な再読文字10個の一覧まとめ
  5.  返読文字→ 【完全版】入試で必要な5種類の返読文字一覧まとめ

 

センターの白文問題に対応する実力を付けられるよう、根本的に理解しておきましょう。

 

『脳TEC漢文』著者:力石 智弘先生

河合塾、四谷学院など予備校・学習塾で活躍する現役ベテラン国語講師。京大理学部という理系出身こその論理的な解法と多種多様な知識・経験から繰り出される授業は最高傑作と評される。東大模試の作成や、神戸大学個別試験(国語)の解答速報作成(新聞にて掲載)など多岐にわたり活躍中の実力派講師。