目次
古代オリエント時代の東地中海世界の諸民族の解説のまえに
この記事では古代オリエント時代に,地中海東岸で活躍した諸民族についてわかりやすく説明していきます。東地中海世界で活躍したセム語系3民族の動向を周辺地域と関連付けながら説明していきます。3民族の特徴を正確に押さえてしまえば得点源とできてしまうさほど難しくはない範囲ですのでマスターできるように頑張りましょう!
本文では基本の流れを分かりやすく解説し,キーワードを重要度別に色分けしています。
赤…センター試験レベル
黄色…国公立・中堅私大入試レベル
最初に歴史のあらすじを把握し,その後に暗記作業に入って下さいね。
東地中海世界ってどこ?
まず,そんなのわかってるよ!という人もいらっしゃるとは思いますが,地中海周辺地図を確認しておきましょう。こまめに地図をみておくことで後々の世界史の勉強に有利になりますしね。
http://sekaishi.matomenai.info/east-mid-sea/より引用
今回焦点をあてるのは,地中海東岸のシリア・パレスチナ地方です。文字通り,地中海の東側にありますよね。地図をみれば,シリア・パレスチナ地方が,メソポタミアとエジプトを移動するときに通ることになる地域であること・メソポタミア方面からの地中海への出入り口になる地域であることが分かります。シリア・パレスチナ地方は,陸路の面でも,海路の面でも,栄える地域だったということです。
そんなシリア・パレスチナ地方で活躍した諸民族を押さえていきましょう。当然,近くであるメソポタミアの影響や古代ギリシア・ローマからの影響をうけつつ,移り変わっていきますから,周辺との関連性を確認しながら説明をすすめていきたいと思います!!
前15世紀の東地中海世界
セム語系のカナーン人が交易で活躍していました。シリア・パレスチナ地方は,陸路の面でも,海路の面でも,要衝であったから、カナーン人は交易で栄えることができたのです。
しかし、その後、この地域にはエジプトとヒッタイトの勢力が伸長してきます。民族の活動が盛んとは言えない状況になります。これを崩すのが前12世紀に登場する海の民です。
前12世紀の東地中海世界 ~海の民の侵入~
前12世紀、ついに海の民が登場します。
で覚えましょう。(笑)
この海の民,民族系統不明で何者?!という謎多し人々なのですが,古代オリエント世界では重要な登場人物なんです。
海の民がやったことをまとめておきましょう。
- ヒッタイトを滅亡させた
- エジプト新王国を衰退させた
特に一つ目は重要知識です。海の民が鉄器使用のパイオニアであったヒッタイトを滅亡させたことによって,鉄器技術が他の民族・地域にも広がりました。(鉄器技術を独占しめちゃくちゃ強かったであろうヒッタイトを倒すとは,海の民とはいったい何者なんでしょうか。。。汗)
海の民が侵入してくる前のオリエント世界の地図を確認しておきましょう。
シリア・パレスチナ地方ではエジプトとヒッタイトがせめぎ合っている状況ですよね。ここに強力な海の民が入っていったのですから,エジプトとヒッタイトの両勢力はすっと引いてしまいます。海の民も国を作ったという訳ではありませんから,結果的に、シリア・パレスチナ地方にもともといたセム語系3民族が活動を活性化させていくことになります。
東地中海世界で活躍したセム語系3民族
セム語系3民族とは,
- 陸で活躍 アラム人
- 海で活躍 フェニキア人
- 宗教作る ヘブライ人
です。この3フレーズを丸暗記です!!!
リズムよく読んでみてください。音読が効果を発揮します!!
陸で活躍/アラム人/海で活躍/フェニキア人/宗教作る/ヘブライ人
陸で活躍/アラム人/海で活躍/フェニキア人/宗教作る/ヘブライ人
陸で活躍/アラム人/海で活躍/フェニキア人/宗教作る/ヘブライ人
ではこれから、この3民族のそれぞれの特徴をおさえましょう。
アラム人
いきなりですがアラム人とアムル人を区別しましょう!私は何度も間違えました。。。
アムル人は,バビロン第一王朝を建ててハンムラビ法典を作ったことで有名な民族です。(ここでは雑な説明ですが,取りあえず区別することが大事です。)当然,時代も違います。ハンムラビ法典が制定されたのは前18世紀のことです。
これは,
と覚えてください!
さて,アラム人とアムル人がいる!混ざりやすいから分けるようにしなければ!!でもどうしても混ざってしまうという人の為に覚え方です!!
(かなり無理やりですが,ハンムラビ法典とアムル人さえ結びつけてしまえば間違える心配はありませんからね~~汗)
というわけで,やっと本題です。アムル人ではなくアラム人の話をします。
アラム人は,ダマスクスを中心地として内陸交易に活躍したセム語系民族です。ポイントは二つ。
- アラム語
- アラム文字
この二つです。
まず,アラム語は商業を通じてオリエントの共通語として広まりました。そして,アラム文字は,アラム人の活動によって広い範囲に普及していきました。アラム文字はヘブライ文字・アラビア文字・ソグド文字・ウイグル文字・モンゴル文字・満州文字などに影響を与えます。この^^^アラム文字の伝播は頻繁に入試問題のテーマとなります。
フェニキア人
海上貿易で活躍したセム語系民族であるフェニキア人は,地中海沿岸各地に都市国家を建設しました。例えば,シドン・ティルスという海港都市です。また,植民活動を行います。カルタゴが有名です。
これらの都市は地図で場所も押さえておくと良いでしょう。カルタゴは現在のチュニス共和国にあります。
https://www.y-history.net/appendix/wh0101-062.htmlより引用
フェニキア文字は,陸路ではなく海路で,ギリシア方面につたわり,アルファベットの起源となります。ローマ字です。ローマ字は表音文字ですよね。(表意文字とは漢字などのことです)ローマ字の元となっているんですから,当然フェニキア文字も表音文字です。
ヘブライ人
ずばり,ユダヤ教を作った人々です。ユダヤ教の成立の話は少し長くなるので別記事で扱いたいと思いますが,簡単に言い過ぎというくらい簡単にいうと,いじめられいろいろなところへ移り住んだヘブライ人が,最終的に成立させた宗教がユダヤ教です。
詳しくは、^^^世界史5|ユダヤ教の成立をわかりやすくをご覧ください。
まとめ
海の民の侵入でシリア・パレスチナ地方への大きな権力が及びにくくなったので,
以下のセム語系3民族
- 陸で活躍 アラム人
- 海で活躍 フェニキア人
- 宗教作る ヘブライ人
が,東地中海沿岸では活躍しました。